涙なしでは語れない、オス蜂の儚き一生

ミツバチの巣の中は一般的に、
女王蜂
働き蜂
たまごや幼虫
の他に、
オス蜂
もいます。
オス蜂は、巣全体の1割くらいであり、一般的な働き蜂よりも少し体が大きく、黒っぽい色をしています。
オス蜂の仕事は、ズバリ
生殖
のみです。
働き蜂のように、
蜜集め
幼虫のお世話
巣の防衛
といった仕事は一切行いません。
食事は働き蜂にお世話してもらいます。
蜜集めのために外に出ることもありません。
子育てしません。
毒針などの武器を持っていないため、戦えません。
本当に、
生殖
だけなのです。
よってオス蜂の一生は、女王蜂と生殖するか否かによって変わってきます。
ちなみにどちらのパターンであれ、(人間的な視点から見ると)悲惨な一生を送ることになります。
①女王蜂と交尾した場合
オス蜂は、空を飛びながら女王蜂と交尾をします。
そして交尾をすむと、
死んでしまう
のです。
これは、女王蜂の体内にオス蜂の臓器(生殖器)の一部が入ってしまうからです。
言い換えると、臓器の一部が引きちぎられてしまうということです。
②女王蜂と交尾しなかった場合
オス蜂唯一の仕事ができないのですから、存在価値がありません。
そういう個体は、巣を追い出されてしまうのです。
巣を追い出されたオス蜂には、自衛手段がありません。
外敵に食べられるか、餓死してしまいます。
とても、儚く可哀想にも感じますが彼らは群れの中で自らの役割を果たして死んでいくわけです。
また、役割が果たせなかった場合も群れを効率よく円滑に生かすために、排除されるわけです。
無情ですが、とても効率的なシステムですね。
オスの蜂の運命は本当に過酷ですね。自分の意思とは関係なく生殖か労働のどちらかしか選択肢がないというのは、人間とは大きく異なる生き物の在り方だと思いました。特に生殖に使われなかった場合の扱いが強い淘汰圧を感じさせます。これほど厳しいシステムでも、蜂の社会が長年にわたって維持されているのは不思議です。ところで、こうした蜂の生態系の効率性は、人間社会から見て学べる部分はあるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
僕には高尚なことはよくわかりませんが、やはりミツバチをはじめとした野生の世界というのは、あまりにも効率が良すぎて、残酷さすら感じてしまいます。
蜂の生態系から人間が学べることは、(逆説的ですが)
多様性を認め合う
ということでしょうか。
蜂にとっては
雌→労働
雄→生殖
という役割しかありませんが、人の社会はそんな単純なものではありません。
働いても働かなくても、生殖してもしなくても一応生きていけます。
(労働は義務ですが)
多様の価値観を認めあって、寿命まで生き抜く。
こういう生き方ができることに、改めて感謝するすることだと思います。